商品の価格に8や9が多い理由について、お話ししたいと思います。
先日、ブログを書くために早起きしてテレビをつけてみると、名物社長で有名なジャパネットたかたのテレビショッピングをやっていました。
深夜時間帯は、どのチャンネルもテレビショッピングか、あるいは健康食品の番組をやっていますよね。
「見てください、この、大画面!!」と、社長が独特の口調で説明されていました。
「198円」「298円」「598円」のオンパレード
商品は電子手帳。
気になる価格は「29,980円」でした。
ふと、リビングのテーブルに置かれた近所のスーパーのチラシに目をやると、生鮮食品から日用品まで、見事に「198円」「298円」「598円」のオンパレード。
これらの商品には、代金支払いの際には8%の消費税が必要なので、結局「198円」は「213円」・「298円」は「321円」・「598円」は「645円」となります。(29,980円の電子手帳は消費税込みらしいです)
最終的には、たとえば「198円」の大根は支払い時には「200円代」となるわけですから、このような価格設定には意味がないのでは?と考えるのが普通です。
現在は「総額表示」が義務付けられており、スーパーの値札をよく見ると、「198円(税込 213円)」としっかり書かれているので、213円を支払うことを購入者はわかっているはずなのです。
社会心理学でも扱われている高度な心理的作戦
詳しく調べてみたところ、これは社会心理学という学問分野でも扱われている、高度な心理的作戦なのだそうです。
購入者に「少しでも安く買える」という期待感を持たせることが第一の目的で、たとえば200円で売りたい大根を、販売者が2円損して198円で売ることによって、購入者に他の商品も買ってもらいやすい状況を作り出すのだそうです。
他の商品も一緒に買ってもらうことで、最初に損をした2円以上の得を取る・・・いわば損して得取れという考え方ですね。
イチキュッパという専門用語で、小売り業界では普通に知られているものだそうです。
では、なぜ「5」・「6」・「7」ではなく、「8」や「9」が好まれているのでしょうか?
これには諸説あって、どれが正解とは言い難いようです。
ちなみに、アメリカやカナダでは、端数の数字は「8」よりも「9」が好まれる傾向にあるらしく、日本の100円均一ショップ通称「100均」にあたるアメリカのショップは「99セント」均一のショップが大多数です。
日本では、「8」を「八」つまり「末広がりの数字」として好む傾向にあります。
もし、ラッキーセブンの「7」を端数の数字として多用していたら、「イチキュッパ」は「イチキュッナナ」となって、なんとも語感が悪い気がしますね。
なんとなく、お得であるかのような気がします
私たちが普段から毎日のように覗いているヤフオク!では、どのようになっているのでしょうか。
「20,000円」「30,000円」と出品されるよりも、「19,800円」「29,800円」と出品されるとなんとなく、お得であるかのような気がします。
では、ヤフオク!でも即決出品する際は、「イチキュッパ」で価格を設定すれば良いのでしょうか?これには、明確な回答は難しいでしょう。
「イチキュッパ」の設定が有効なのは、たとえばメーカー希望小売価格などの、比較する対象となる価格が明確な商品だと思います。
アンティークやマニア向け商品などの、相場価格が変動するような商品では、比較する対象となる価格が揺れ動くので、「イチキュッパ」の影響は小さいのではないかと考えています。
あなたが扱っている商品の性質によって、これらを臨機応変に使い分けるのがよいでしょう。