今日の記事は、個人貿易ビジネスとは直接関係はありませんが、インターネットを使っている私たちにとって、きわめて重要な内容です。
ここ数日、テレビや新聞、そしてネットのニュースサイトでも話題になっていますが、ウイルス(コンピュータウイルス)への感染による、個人情報の漏洩についての事件が多発しています。
他人事ではすまされません。
海外との取引でメールをやり取りする機会がある、私たち個人貿易ビジネス実践者は、パソコンのセキュリティにはしっかりと対策をしておくべきなのです。
ウイルスの凶悪性が日に日に増している
サラリーマンだったときの最後の部署は、インターネットの接続に関するプロバイダ部門でしたので、この手の問題にはつねに直面していました。
ウイルスにはさまざまな種類があって、パソコンが世の中に普及しはじめたころは、画面に花火の画像を見せたりするのが精一杯の、かわいらしいものが多かったのですが、コンピュータ技術の発展とともに、ウイルスの凶悪性が日に日に増しています。
たとえば、パソコンに感染するとハードディスクの中身を完全に消去するものや、負荷をかけるプログラムなどを次々と実行して、パソコンを故障させてしまうものがあります。
中でも、最近話題になっているのは、感染することで仕掛けた第三者によってパソコンが操られるというものです。
トロイの木馬と呼ばれる悪質なソフトウェア
「トロイの木馬」というギリシャ神話を知っていますか?
トロイアの木馬
トロイアの木馬(トロイアのもくば)は、ギリシア神話に登場する装置である。トロイの木馬とも言われる。トロイア戦争において、トロイア(イーリオス)を陥落させる決め手となった。木でできており、中に人が隠れることができるようになっていた。 転じて、内通者や巧妙に相手を陥れる罠を指して「トロイの木馬」と呼ぶことがある。
古代都市トロイをせめあぐねていたギリシャ軍が、木馬の中に兵隊をしのばせて都市内に運び込みました。正確にはトロイ軍が自らの手で引き入れたのです。
都市の中にまんまと侵入することができたギリシャ軍が、一斉に木馬から飛び出して、一気にトロイを滅ぼしてしまうというお話です。
この神話のとおり、パソコンの利用者がソフトウェアを自分でダウンロードして実行してみると、中に潜んでいたソフトウェアがパソコンの中で個人情報を抜き取ったり、操るための下準備をしたりすることがあります。
この神話にちなんで、ウイルスのような活動をするこのようなソフトウェアを、トロイの木馬あるいは単にトロイといいます。
対策をしてもすぐに新しいタイプのものが出る
トロイの木馬は、ウイルス対策ソフトの会社が日夜駆除や対策に尽力していますが、対策をしてもすぐに新しいタイプのものが出たり、あるいは本当のウイルスのように抵抗力を持ったり、自分で自分を複製したり、まさにいたちごっこの状態なのです。
トロイの木馬はさらに進化して、犯罪者がAさんのパソコンへウイルスを送り込み、そのAさんのパソコンからBさんのパソコンに侵入して、大型掲示板や公共のホームページの掲示板に、あたかもBさんが書き込んだかのようにふるまうものもあります。
これが、今話題になっているいわゆる踏み台というものです。Aさんが踏み台として利用されているのです。
問題なのが、このタイプのトロイの木馬は、Bさんのパソコンの中では自分が活動した形跡を一切残さないようにしていることです。どれだけ調査しても、Bさんが悪さをして掲示板に犯罪予告をしているようにしかみえないのです。
Aさんに悪意がなくても、踏み台として犯罪者に悪用されることで、間接的に犯罪に荷担していることになるところが大きな問題なのです。考えるだけで恐ろしいです。
日本のコンピュータ犯罪を一手に取り締まっているのが、京都府警のサイバー犯罪対策課なのですが、サイバー犯罪対策課でもこの踏み台を調査するのに大変苦労しているようです。
世界中のウイルスに接する機会が格段に増えている
では、このトロイの木馬の話と、個人貿易ビジネスがどのように関係があるかというと、世界中のセラーやバイヤーとメールをやり取りすることで、日本ではまだ出回っていないタイプの新種のウイルスに感染してしまう恐れがあるのです。
もともとインターネットには国境はありませんが、世界中の人々とやり取りをするようになると、私たちが考えているよりも多くの世界中のウイルスに接する機会が格段に増えることになります。
eBayから来ているメールに見える巧妙なものもある
有名なところでは、eBayのページに似せた偽メールに情報を入力することで、eBayのアカウント情報やクレジットカードの情報を抜き取られたりするものがあります。このような偽メールをフィッシングメールといいます。
外国人と個人メールのやり取りをしていなくても、ぱっと見がeBayから来ている正式なメールに見えるので、ついつい信用してしまいそうになります。
海外とのメールでウイルスに感染しないようにする3つの対策法
このような危険なメールにどのように接すればよいかというと、次の三点を徹底することです。
- ウイルス対策ソフトを導入する
- ウイルス対策ソフトを常に最新の状態に保つ
- 知らない人からのメールの取り扱いに注意する
パソコンに最初から入っている対策ソフトではダメ
1のウイルス対策ソフトについてですが、パソコンを購入したときに最初から入っているものはいわゆるお試し版なので、定義ファイルというウイルス対策のデータベースのようなものが、30日程度で切れるものがほとんどです。
そうすると、最新の状態に保つことができなくなるので、2を徹底することができなくなってしまいます。
最初から入っている対策ソフトとは別のものを入れよう
最もよい方法は、その最初から入っているものを削除して、自分で購入したウイルス対策ソフトを入れることです。そうすることで、定義ファイルを更新することができるので、2を徹底することができます。
ウイルス対策ソフトを常に最新の状態に保つには、定期的に定義ファイルを最新のものに更新しておくことを習慣づけることです。ウイルス対策ソフトを入れるだけでは不十分なのです。
ウイルスは、今この瞬間にも新たな種類に進化し続けており、定義ファイルが古いとウイルスを削除できないばかりか、発見することすらできないのです。
添付ファイルを不用意に開いたりしないこと
最後に、3の知らない人からのメールの取り扱いについてですが、基本的に知っている人からのメールでも、添付ファイルを不用意に開いたりしないことです。
たとえ送り主が取引先や知人であっても、先ほど説明したように、その人が踏み台にされている恐れがあるからです。
パソコンのセキュリティには万全を期すべき
ここまで説明したことで、おそらくあなたはメールの取り扱いが怖くなったと思います。
しかし、お客様の個人情報を扱うこともある、私たち個人貿易ビジネスの実践者は、パソコンのセキュリティには万全を期すべきなのです。少し怖いと感じるくらいが、ちょうどよいと私は考えています。
ウイルス対策ソフトを購入することは、たしかに出費とはなりますが、知らないうちに犯罪者の踏み台にされてしまうことを防ぐためにも、まだ導入されてないのであれば、購入することを強くおすすめします。